昨今、新聞の経済欄を“人手不足”というキーワードがにぎわせています。実際、厚生労働省の発表によれば、2014年4月の有効求人倍率は1.08倍と、7年9か月振りに高い水準を示しています。また、17か月連続で改善を続けていることからも、企業が人材を求めていることが分かるでしょう。

震災復興や2020年東京五輪などで需要増に

リーマンショックが起きた2008年~2009年ごろは、リストラで職にあぶれた人ばかりだったのに、なぜ急に人手不足が起きたのでしょうか? 時系列で考えてみると、以下のような理由が考えられます。

  •  リーマンショック時のリストラで働き手が減少
  • 東北大震災による復興需要
  • アベノミクスの好景気感による消費意欲の増大
  • 2020年東京五輪に向けた特需

つまり、リーマンショックのリストラでもともと労働者が減少していたところに、震災復興や東京五輪特需、アベノミクス景気などによって急に労働者が求められるようになったわけです。このギャップが近年まれにみる人手不足感を生んでいます。

特に土木・建築業界では圧倒的に職人が足りておらず、工期の遅れも見られるようになっています。その他、IT関連や介護職、外食・サービスなどの業界でも人手不足が発生しています。すでにスターバックスジャパンやユニクロ、ワタミといった大手企業では、非正規の労働者を正社員や地域限定正社員として登用し、労働者の“囲い込み”を行うなどの対策を行っています。

少子化で労働力のさらなる減少が……

さらに、少子化の影響も見逃せません。総務省が2014年4月に発表した2013年10月の推計人口によると、総人口は約1億2729万人(定住外国人含む)で、3年続けて減少しています。

特に、労働者層の中核をなす15~64歳の人口(生産年齢時今)の減少が激しく、32年ぶりに8000万人を割り込んで7901万人となりました。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、将来の生産年齢人口は、2027年には7000万人、2051年には5000万人となることが予想されています。

つまり、将来的には労働者の数自体は減っていくことはほぼ間違いないわけです。もちろん、今後は65歳以上でも働き続ける高齢者などが登場するでしょうが、それでも“人手余り”になるかどうかは怪しいでしょう。

土建や介護、飲食の分野なら転職者には有利

では、こうした人手不足は転職者にとって有利なのでしょうか? おそらく、単純作業や肉体労働の現場においては、転職者に有利でしょう。例えば土木・建築や介護、外食などの分野です。

一般的に土木・建築業界や介護業界、外食業界などでは、高度な頭脳労働よりも“手足を動かす”ことが重視されます(もちろん細かいノウハウを覚える必要はありますが)。極論すれば健康な体さえあれば誰でもいいですし、まったくの新人であっても手伝える業務は豊富にあります。

であれば、労働者の数が足りなくなればなるほど、企業の採用担当者は「もう誰でもいいから採用したい!」となりますし、その分、転職者にとっては売り手市場に傾いていきます。

一方、IT関連やクリエイティブ職など、特別な知識や技術が求められる分野においては、たとえ人手不足でも“誰でもいい”というわけにはいきません。プログラミング技術やWebサイトをデザインするセンスなどは、ちょっと教えるだけですぐに身につくというものではないからです。

もちろん、中には「ちょっとでもプログラミングの知識があればいい!」と採用ハードルを下げる企業もあるでしょう。しかし、基本的には人手不足であっても採用担当者は転職者のスキルを見極める必要があるわけですから、すべての転職者に有利とは言い切れません。求められる能力を持っている転職者が企業に採用されるという、ごく当然の状況が続くと予想されます。

 

いずれにしても労働者人口の減少によって、働き方や転職市場が変わることは間違いなさそうです。現在、転職を考えている人は、自分の市場価値や理想の働き方を考えながら、転職市場を乗り切っていくことが求められそうです。